本ユニットは、2006年に設立され、分野横断型の研究を展開してきた「生存基盤科学研究ユニット」が発展的に移行して結成されたユニットで、本学の7部局(化学研究所、防災研究所、エネルギー理工学研究所、生存圏研究所、東南アジア研究所、地球環境学堂、経済研究所)の教員の有志が参画しています。
人類の歴史の初期においては、地球上の資源のごく僅かしか消費されなかったため、人類の存在が地球規模での資源・環境に与えた影響は微々たるものであったと推測されます。しかし、最近の数百年間で、人類が消費してきた資源の総量は爆発的に増加しました。その結果として、現在、石油やレアアースの不足や地球温暖化の問題などに代表される資源の枯渇と環境劣化が地球規模で進行し、社会的問題のみならず深刻な国際問題も誘発しています。この問題に対応する上で、自然環境、生物圏、人間社会と文明、人間個人、そして物質一般に関わる全ての事象がそれぞれに固有の「寿命」を持つことが、重要な鍵となります。すなわち、人類が活動を行う限り資源の消費と環境変化(劣化)は避けられないという認識の下で、自然環境、生命、人間社会、物質それぞれの寿命に応じた対応策を統合的かつ整合的に計画・遂行する必要があります。
本ユニットでは、自然環境、人間社会、生命、物質の各分野における先端研究を推進してきた上記7部局の研究者が、分野横断的な共同研究を通じて、それぞれが対象とする系の寿命がどのような因子で決まっているのかを明らかにし、さらに、対象系の寿命の相対評価(人類のタイムスケールにおける自然環境、物質などの脆弱さの評価)という視点を踏まえて研究成果を統合することで、生存基盤構築の方策を提示しようとしています。この方策は、人類の生存基盤が万古普遍ではないことを念頭に置いた動的かつ地球規模での方策であり、限定的な地域における単純な右肩上がりの発展だけを目指す従来の方策とは一線を画するものとなると考えています。
本ユニットでは、右図に示すように、物質生産と人間社会・自然環境のフィードバック、エネルギー源の高効率・長寿命と有害物質の無排出 (ゼロエミッション化)、卓抜機能物質の創製・長寿命化・再生を3本柱として、分野横断的な共同研究を進めています。この方針の下で、平成27年度には、エコシステムの安定性に関する研究などの13件の萌芽研究が進行中です。また、外国人教員 4 名を雇用し、バイオマス生産に関する研究などのグローバルな視点に重点を置いた共同研究 4 件も開始されています。これらの研究の成果は、自然環境、生命、人間社会、物質それぞれの寿命に焦点を当て、地球規模での地域連携に基づいて生存基盤を構築するための重要な出発点となると期待されます。
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